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転倒リスクと脳の「食い違い」—反射と脳の指示がずれるとき、あなたの足元は危険信号

京都大学の梅田達也准教授が指摘しているのは、反射と脳からの指示に食い違いが生じることが、中高年における転倒リスクを大きく増加させるという現象です。これは、年齢と共に脳が正確に指示を出せなくなること、つまり「反応と認識」のズレが、私たちの身体に重大な影響を与えるということを意味しています。

1. 反射神経の衰えとその影響

まず注目したいのは、反射速度の低下です。梅田准教授によると、加齢に伴って脳から身体への指令伝達が遅くなり、反射速度が鈍化します。例えば、20代と70代を比較すると、反射時間は20代:約100ミリ秒、70代:約170ミリ秒。これは70代では約70ミリ秒遅れることを意味し、その差が転倒を防ぐための「タイミング」に大きな影響を与えるのです。

2. 脳の誤認識—足元の「食い違い」

次に、問題となるのが脳の誤認識です。加齢に伴い、視覚や proprioception(自分の身体位置を認識する感覚)に誤差が生じやすくなります。例えば、**60歳以上の約40%の人々が「視覚的な情報を正確に把握できていない」**と報告しており、これが足元の障害物をうまく回避できない原因となります。脳が障害物を認識し損ねると、体が反応してもその動きが遅れ、つまずきや転倒を引き起こしやすくなるのです。

3. セルフケア:反射と脳の指示のズレを防ぐために

反射と脳の指示のズレを防ぐためのセルフトレーニングは、転倒リスクを減らすために非常に効果的です。ここでは、バランス訓練視覚・認識訓練、そして即時反応トレーニングの3つの観点から、どんな方法を実践すればよいのかをわかりやすく具体的に解説します。

バランス訓練

バランス訓練は、反射神経や身体の安定性を向上させ、転倒を防ぐために最も重要です。年齢を重ねると、足元の感覚や身体のバランス感覚が衰えがちなので、これを強化することで反射速度を速くし、体がしっかりと動くようになります。

具体的なトレーニング方法

ヨガや太極拳:これらの運動は、柔軟性とバランスを改善するための優れた方法です。特にゆっくりとした動きが、反射神経のトレーニングにもなり、バランス能力を高める効果があります。

片足立ち:立っている時、片足をゆっくりと持ち上げ、バランスを取ります。初めは30秒を目標に、できるだけ長く片足で立ってみましょう。慣れてきたら、目を閉じてみると、さらにバランスを取る難易度が上がります。これにより、足元の感覚を鋭くし、反射神経を鍛えられます。

踏み台昇降:踏み台や段差を使い、昇降運動を繰り返します。最初は低い段差から始め、徐々に高さを増していきましょう。この運動は、体幹と足の筋肉を強化し、歩行時の安定性を高めます。

視覚・認識訓練

視覚的な情報を正確に認識し、脳がそれに迅速に反応できるようにするためには、視覚・認識訓練が不可欠です。加齢とともに視覚情報がうまく処理できなくなることがあるため、視覚的な認識を改善することで、転倒を防げる可能性が高まります。

具体的なトレーニング方法

  • 視線を動かしながら歩く:前方だけでなく、左右や上を見ることを意識しながら歩くことで、視覚の情報処理を促進します。これにより、足元や周囲の障害物を早く認識できるようになります。例えば、歩きながら周囲の物を「見つける」ゲームをするのも効果的です。
  • 目の運動(眼球運動):目を上下左右に動かしてみましょう。目を一度に大きく上下や左右に動かすことで、視覚的な処理能力を高め、脳が視覚情報を素早く処理できるようになります。1分間に10回程度を目安に、目を動かす練習を行いましょう。
  • 色や形を認識するトレーニング:色や形のパズルや図形を使った訓練も有効です。目で追いながら、素早く動く物体を認識する力を養います。これによって視覚的な注意力や判断力が鍛えられます。

即時反応トレーニング

即時反応トレーニングは、予測できない動きや状況に対して反応する能力を高めます。転倒を防ぐためには、瞬時に足元の状況に対応できることが重要です。

具体的なトレーニング方法

  • 反応ボール(バウンドボール):反応ボールを使った練習は、視覚と反射神経を鍛えるのに非常に効果的です。ボールを壁に向かって投げ、跳ね返ってきたボールを素早くキャッチします。ボールの跳ね方が予測できないので、反射的に動く能力を鍛えられます。最初はゆっくりしたスピードで、慣れてきたら少し速くしていきましょう。
  • 音に反応するトレーニング:目を閉じて、特定の音が鳴ったタイミングで素早く手を挙げる、足を踏み出すなど、音に反応する訓練を行います。音に対する反応を高めることで、周囲の状況に即座に反応できるようになります。
  • ストップ・ゴー運動:友人や家族と一緒に、指示に従って「止まれ」「走れ」などの指示を出し、そのタイミングで反応します。即座に身体を動かすことで、神経と筋肉の連携が強化され、反射速度が向上します。

まとめ

反射と脳の指示のズレを防ぐためには、これらのバランス訓練視覚・認識訓練即時反応トレーニングを日々の生活に取り入れることが重要です。少しずつでも継続することで、反射神経や認識力が改善され、転倒リスクを大幅に減らすことができます。簡単なエクササイズでも効果は実感できるので、毎日の習慣として取り入れてみてください!

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